【基調講演要旨】徳川記念財団理事長・徳川恒孝氏 歴史文化講演会

◆世界が認めた徳川家康

徳川幕府が治めた約260年について語っていく。17~18世紀、平和を保っていたのは世界で日本だけだ。戦続きの戦国時代と変わり、江戸幕府は時間をかけて日本という国の基盤をつくった。特に幕府を開いた徳川家康は世界も認めるナンバーワンの施政者である。

日本は特異な島国である。輸入した文明をそしゃくし、自分たちのものとして独自の文化を成立させてきた。江戸時代には武家は藩校、農工商は寺子屋などで学ぶなど世界最高の教育水準だった。幕府による「武」から「文」への大転換で平和を維持したのだ。

学問だけではない。花見や寺社の祭礼、菊や朝顔栽培、落語、浮世絵など文化度の高さは他国を上回った。夢のような時代だった。

文教政策や街道整備などで経済も爆発的に成長した。一方、質素倹約も美徳になり、質素な生活でリサイクルも進んだ。足るを知ったのだ。

このように平和な江戸時代を戦争で壊したのが薩長を中心とする明治政府である。今、世界文明の均一化が進み、江戸時代に築かれた文明の多くが西洋化している。人と人との交流がある社会を再確認、日本人が生きてきた道を思い出すときではないだろうか。