生まれた絆未来へ 歴史文化講演会「戊辰戦争 会津藩と徳川幕府」

徳川宗家18代当主の恒孝氏(左から3人目)と、戊辰戦争で活躍した東北諸藩の藩主子孫ら。(左から)丹羽長聰氏、上杉邦憲氏、1人おいて松平保久氏、酒井忠久氏、伊達泰宗氏、南部利文氏が戊辰戦争をテーマに意見を交わした

戊辰150年に合わせ、会津若松市の会津大で10月21日に開かれた同市歴史文化講演会「戊辰戦争 会津藩と徳川幕府」では、徳川宗家や会津、庄内両藩、奥羽越列藩同盟で主力を担った各藩の藩主子孫らが「先人の努力で平和な社会が成立したことを忘れず、未来につなげる役目がある」と結論付けた。

室井照平会津若松市長、会津藩と縁が深い京都市の村上圭子副市長、「会津会」会長の柳沢秀夫氏の鼎談(ていだん)では「戊辰戦争から150年、これからの街づくり」をテーマに、幕末を背景に生まれた両市の絆を確認し、一層の交流促進を期した。詰め掛けた歴史ファンや地元関係者は登壇者の話に聞き入り、新たな視点から戊辰戦争を考えた。

◆主催者あいさつ 福島民友新聞社社長・五阿弥宏安

県内各地で開催している歴史文化講演会は今回で14回目となり、会津若松市では2年連続5度目を迎える。今年は戊辰150年の節目であり「戊辰戦争 会津藩と徳川幕府」と題して、徳川宗家や東北諸藩の藩主子孫ら関係者にお越しいただいた。

「歴史は勝者によってつくられる」といわれるが、戊辰戦争は本当に必要だったのだろうか。戊辰戦争で敗れた会津藩など東北諸藩は「賊軍」の汚名を着せられた。果たして敗者に義はなかったのか。改めて戊辰戦争や明治維新とは何だったのかを考えたい。さまざまな歴史を振り返るきっかけにしてほしい。

 ◆鼎談「戊辰戦争から150年、これからの街づくり」◆

会津と京都のつながりをテーマに語り合う(左から)柳沢氏、室井市長、村上副市長

●尊敬し合えば戦争ない 村上圭子氏
●会津と京都復興の時代 柳沢秀夫氏
●商業者が再生の立役者 室井照平氏

柳沢 会津と京都は歴史の関係が深いが、私たちの世代は修学旅行先としても親近感がある。戊辰150年の節目に会津と京都の関わりを語っていく。

室井 会津では「義」と「未来」をキーワードにした事業を展開し、先人に学び、後世に歴史をどう紡ぐか取り組んでいる。来年は「アフター戊辰150年」としてまとめていきたい。

柳沢 会津は戊辰150年、薩長は明治維新150年。京都の観光パンフレットは明治150年ですが、歴史をどう捉えているか。

村上 京都は天皇が住む都だったが、明治に東京奠都(てんと)があり、公家や商人も東京に出て行った。そのため人口が3分の1も激減したが文化振興や産業振興、教育で復興を遂げた。この歴史を振り返る節目である。

柳沢 ちなみに薩長についてはどんな思いを(笑)。

村上 長い歴史がある京都は各地から人々が集まり”痕跡”を残した。人々は抵抗するよりも、やり過ごす考えが強い。時の権力に固執しないので、薩長など気にしていない。

柳沢 会津と京都の明治時代は復興から始まる点が共通している。会津はどのように復興したのか。

室井 戊辰戦争後に現在の会津若松市の中心部は焼け野原で、武士階級もいなくなった。そこで街を再生させたのは商業者だった。明治初期の若松県(会津地方)の県外出荷額の記録では約3割が伝統工芸の会津漆器だった。けれども復興を支えた人々の存在はあまり語られることがない。

柳沢 明治の京都の復興には、京都府議会議長、京都商工会議所会頭を務めた旧会津藩士山本覚馬が関わっている。ぜひ観光パンフレットでゆかりの地を紹介してほしい。

村上 大河ドラマ「八重の桜」を機に京都と会津の関係が再認識された。会津への感謝を忘れないように、ゆかりの地を紹介していく。

室井 会津側も京都を紹介していきたい。観光面では京都から学ぶことが多い。なぜ京都はインバウンドに力を入れるのか。

村上 外国人に文化を味わってもらえれば日本を尊敬してもらえる。尊敬し合えば戦争は生まれない。つまり世界平和への貢献が根底にある。もちろん観光消費も重要で、年間1兆円以上に上る。昨年の宿泊観光客数は1500万人、外国人は350万人を超えた。

室井 規模は違うが、会津でも冬の観光に力を入れ、通年観光を考えている。京都から外国人観光を学びつつ、京都とともに将来を描けるようにしたい。

 柳沢 150年前の歴史を今にどう生かすかという視点で、さらにつながりを深めていければいい。

むろい・しょうへい 1955年、会津若松市生まれ。東北大経済学部経営学科卒。北海道拓殖銀行入行。会津若松市議2期、県議1期を経て2011年に会津若松市長就任、現在2期目。

むらかみ・けいこ 1957年、福岡県生まれ。神戸大経営学部卒。京都市の観光政策監、産業観光局長、産業戦略監を歴任、2017年から同市初の女性副市長。担当は文化芸術や福祉部門。

やなぎさわ・ひでお 1953年、会津若松市生まれ。早稲田大政治経済学部卒。NHK解説主幹を経て9月に退局し、10月からフリージャーナリストに。2017年から会津会会長。

■主催 (一社)漢字文化振興協会、(公財)徳川記念財団、福島民友新聞社
■共催 会津若松市戊辰150周年記念事業実行委員会
■後援 県、会津若松市、会津若松市教育委員会、読売新聞東京本社福島支局、福島中央テレビ、ふくしまFM
■協賛 弓田建設、会津商工信用組合、会津若松商工会議所、会津若松観光ビューロー
■協力 会津まつり協会

徳川宗家18代当主の恒孝氏(左から3人目)と、戊辰戦争で活躍した東北諸藩の藩主子孫ら。(左から)丹羽長聰氏、上杉邦憲氏、1人おいて松平保久氏、酒井忠久氏、伊達泰宗氏、南部利文氏が戊辰戦争をテーマに意見を交わした