1両札の「偽札原版」初公開 南会津の寺所蔵、雲井事件の重要史料

展示されている偽札の原版。表が右

戊辰戦争後の新政府が発行した日本初の全国通用紙幣(太政官札(だじょうかんさつ))の偽1両札の原版が南会津町の寺に所蔵されていることが分かった。幕末・明治の混乱期を考える史料として注目を集めそうだ。原版は同町の奥会津博物館で初公開されている。

奥会津博物館によると、原版は銅製で1両札の表と裏を模した2枚。30年以上前に町内の南泉寺の米びつから見つかった。原版の存在は一部で知られていたが、寺側の当時の意向などもあり非公開だったという。

同博物館研究員の渡部康人さん(57)は原版と米沢藩士の雲井龍雄との関連を指摘する。雲井は戊辰戦争時から南会津地方を訪れていたが、1870(明治3)年に政府転覆を企てたとして処刑された。一緒に捕らえられた関係者の中に、当時の南泉寺の関係者がいたという。

渡部さんによると、南泉寺出身の僧侶が供述調書で、偽札製造の様子を語っている。

この僧侶は雲井の活動資金を捻出するため偽札製造に加わり、東京などで偽札を刷ったという。この住職は逮捕後に獄死したが、同様に関与していた兄が南会津に戻った。

渡部さんは「証拠隠滅のため原版を寺に隠したのでは」と推察し、「雲井龍雄事件を研究する上で一級品の史料。当時の社会情勢を考える上でも重要だ」と話している。

10月まで展示、細井家企画展も開催

原版の展示は10月28日まで。雲井と交流のあった南会津町の豪商・細井家の企画展と併せて開催している。時間は午前9時~午後4時。入館料は大人300円、高校生200円、小・中学生100円。